化学物質を取り扱うネイルテクニシャンとしては、VOC(揮発性有機化合物)という言葉を一度は耳にされたことがある方は多いと思います。VOCはシックハウス症候群や光化学スモッグの原因となり、人体への悪影響も指摘されている物質です。国は大気汚染防止法を改正し、VOC排出規制に本腰を入れて取り組んでいます。ここでは、VOCとは何か、その発生源や人体に対する悪影響とその対策についてご説明します。
VOCは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。大気中の光化学反応により、光化学スモッグを引き起こす原因物質の1つとされており、揮発性があり、大気中で気体状となる有機化合物の総称です。数十年前は工業の近代化による環境汚染が深刻で、光化学スモッグ注意報が日常的に発令されていたので、ご存知の方も多いかと思います。 VOCに該当する物質は、トルエン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、酢酸エチル、デカン、メタノール、ジクロロメタンなど。約200種類と非常に数が多く、塗料溶剤(シンナー)、接着剤、インキ、一部の洗浄剤などが発生源となります。
VOC の発生源として塗料、燃料、化学品、印刷インキ、工業用接着剤からの排出が全体の78%を占めます。平成26年のVOC排出量の発生源をみると、塗装40%が最も多く、次いで燃料(蒸発ガス)19%、化学品7%、印刷インキ6%となっています。(出典:経産省・環境省)
皆様の身近にあるネイル製品において、マニキュアにはVOCを多く発生する有機溶剤が配合されているほか、ネイルグルー、アセトンなど伝統的なネイル製品の多くがVOCの発生源に該当します。
大気中に放出されたVOCは、窒素酸化物とともに太陽の紫外線を受けて化学反応を起こし、有害な光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(SPM)を生成します。光化学オキシダントは光化学スモッグの原因となり、目の痛みや咳き込みなど呼吸器官に悪影響があることがわかっています。また、SPMは粒子径が10マイクロメートル以下の微粒子で大気中に長時間滞留しており、吸い込むと呼吸器に沈着し、肺腺癌などの要因を引き起こすなど、人体に深刻な害を及ぼします。
また屋外環境のみならず、室内においてもシックハウス症候群、喘息などの呼吸器疾患、化学物質過敏症の症状を引き起こすなどVOCによる健康被害が発生しています。マニキュアのツンとくる臭いがまさにVOCであり、マニキュア使用中に揮発したガスを吸い込むことで、頭痛を引き起こされる、呼吸が苦しくなる等の症状も、VOCが神経系や呼吸器系に悪影響を与えているからと考えられます。ネイル用品をご使用になる方やネイルテクニシャンは、連続かつ継続的にVOCの影響を受ける環境に置かれている環境であることや、婦人科系にも悪影響を与えることがわかっているため特に注意が必要です。
VOCを発生するネイル製品を極力使用しないことで人体への影響を相対的に減らします。また、十分な換気を行い室内に充満したVOCを屋外に連続的に排出することを行ってください。また、アセトンや除光液などが含まれたゴミからはVOCである有機ガスが出続けます。ポリ袋などの口は縛って蓋付きのゴミ箱に捨てて拡散を少しでも防いでください。一般の空気清浄機ではVOCをほとんど浄化できませんので、強制換気と新鮮な空気の給気が最も効果的な対策となります。
VOCによる大気汚染は、多くの環境問題にも関与しています。オゾン層の破壊や地球温暖化などの原因となり、森林破壊や農作物被害につながる可能性が指摘されています。また、VOCの排出量の抑制は、大気環境の改善だけでなく、悪臭の発生を防ぐことにつながり、隣接する住宅やテナントからのクレームを予防できます。
またショッピングモールや複合ビルでネイルサロンから臭いが発生することを嫌悪され、テナントに入居できないといった問題もVOC対策された製品を使用することで臭いの発生を抑えられ、問題の解決になるかもしれませんし、何よりお客様にも健康的で快適な空間でのネイルサービスを実現できます。
オーガニックなどいかにも人体や環境に良い印象を与えるキャッチフレーズは沢山あります。しかしながら、イメージに惑わされず本質を見極めた製品選びをしないと返って逆効果となってしまう場合もあります。例えばオーガニック成分配合というコスメは大変人気がありますが、天然由来のオーガニック成分を腐敗せずに安定した品質を保つために化学的な製法にて製造された一般的な化粧品より多くの防腐剤が配合されている場合などがあり、まさに本末転倒とも言わざる得えない、イメージ優先の化粧品が出回っていたりします。
ジェルネイルにおいても同様に、一見どのブランドの製品も同じ様に見えますが、VOCを大量に含む製品もあれば、全くVOCを含まないジェルネイルもございます。長い間、ネイル用品製造メーカーは、ネイルプロダクツに含まれる化学物質が人体に与える悪影響についてのトピックスになるべく触れない様に避けて通ってきましたが、日美では創業当初から、お使いいただくネイルテクニシャンやネイルを楽しむ全ての方に、安心で健康的なジェルネイル製品やネイルシステムの提供をテーマに掲げVOC(揮発性有機化合物)を含まないピュアジェルタイプのジェルネイルのOEM製造を専門に事業を展開してまいりました。
それは結果的に従業員が安全で健康的に働けることを意味し、従業員の健康を守ることも同時に実現できることになりました。私どもがお創りする製品は「自分の大切な家族や子供、孫にも安心して使える商品でなければ絶対に作らない、売らない」といった創業者の強い思いが込められており、「たった一つの命、かけがえのない私たちの地球環境にも貢献したい・・・」その信念は創業以来ずっと守られ続けております。