
ジェルネイルと薬機法
日本の薬機法(旧薬事法)で化粧品は、『人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚、若しくは頭髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。』と定義されています。
国際的にマニキュアやジェルネイルは殆どの国で化粧品に分類されていますし、日本においても薬機法に則った製造と販売をするように法律で義務付けられております。
しかしながら日本では化粧品販売届けがなされた化粧品ジェルネイルである製品と、雑貨区分のジェルネイルが混在して流通されています。いったいその違いはなんでしょうか。ここではその違いについて化粧品製造業者としての見解を説明させていただきます。
ジェルネイルを化粧品として販売するメリット
■「化粧品販売届」がなされた化粧品ジェルネイルは、人体(爪・ネイル)に使用することを前提に作られています。その為、「人体(爪・ネイル)に直接塗る製品であること」「爪を健やかに美しく見せる作用がある製品」であることをカタログや広告で表現することができます。
その際に、人体(爪、ネイル)にジェルネイル化粧品を塗布している様子や画像、ジェルネイル化粧品の使用方法についても人体(爪・ネイル)に使用する目的や文言を説明し表現できます。
ジェルネイルを販売する上で、商品の使用方法やセミナーなどで人体(爪、ネイル)に使用できると説明ができることはイメージ戦略上たいへん重要な事です。
■ 化粧品製造業許可を有する工場でジェルネイルを製造する必要があり、市場に流通するためには化粧品製造販売業の許可も必要となります。行政による監査のもと運営されている化粧品製造業者で製造された化粧品であることは、消費者にとって安心して製品をお使いいただく上で重要な要素となります。
■ ベースジェル以外にもノンワイプカラージェルやポリッシュジェルなど爪に直接塗るアイテムも多くあるため豊富な製品展開が可能となります。
■ ジェルネイルの全成分がINCI名化粧品原料で構成されたジェルネイル製品は海外に化粧品として輸出が可能です。※輸出先国の規制に準じた組成が必要。
ジェルネイルを化粧品として製品化するご留意点
■ 薬機法で定められた規制の範囲で原材料の選定・配合をする必要があります。特に着色に使われるタール顔料は化粧品で使用できるものが規制により年々少なくなってきました。ラメやホログラムなども同様です。様々な規制の中で調色や色調の表現に限界があります。
■ 薬機法において化粧品の効果効能に対する表現は厳しく制限されています。そのため、販売者の販促活動においては薬機法を遵守した活動が求められます。
また化粧品製造販売業者は規制成分が製品に含まれていないかなどを検査する規制成分分析検査や、健康安全に関する情報管理と報告義務があるなど、薬機法に準拠した厳格な運用が必要です。
販売者・化粧品製造販売業者と共に安心・安全を担保するための行動を実践することで、お客様は安心して化粧品を購入し使用することができます。
雑貨ジェルネイルを製品化するメリット
■使用できる顔料やラメなどの素材が非常に豊富であり、化粧品顔料では表現できない鮮明なカラーを表現可能。化粧品原料では表現できない色調やエフェクト系のラメも自由に配合できるため、豊富なカラー展開が可能になります。幅広い色数の顔料を製造者の権限で自由に選定することができ選択肢がグッと広がります。
■化粧品販売届けなどの行政手続きが必要なく、薬機法の制限を受けないため、どなたでもどこでも製品を製造、販売できます。
雑貨ジェルネイルを製品する場合のご留意点
雑貨ジェルネイル(塗料)は「人工爪表層部への使用に限定されます」
人体(爪・ネイル)に使用できると表現することや、人体(爪・ネイル)に塗る目的で販売、説明することが一切できません。また、人体(爪・ネイル)に直接使用できない塗料という扱いになるため、カタログ、広告等で人体(爪・ネイル)に直接塗る様子のイメージ画像、表現、説明なども一切できません。
もちろんセミナーなど口頭で人体(爪・ネイル)に直接ジェルネイルを塗る行為を説明することや、人体(爪・ネイル)に直接塗布する商品であると誤解を与える表現や説明をすることもできません。化粧品と誤解を与える表記や表現をすると薬機法違反で処罰されることもあり注意が必要です。
但し、人工爪表層に塗ることが明確な製品で、かつ消費者に誤解を与えない様に雑貨・雑品であること製品に表記し、使用方法、注意事項等の情報がガイドラインに則って正しくわかりやすく表示され、化粧品との雑貨との違いを区別し明示することで、雑品のジェル状塗料でもジェルネイルとして販売することができます。
例えば、爪に直接塗布する目的のベースジェルは必ず化粧品である必要がありますが、ベース層上の第二層目以降は人工爪表層となる為、その上に塗布するカラージェルやトップジェルが必ずしも化粧品である必要はない、という見解が行政より明示されました。
但し、PL法(製造物責任)は適用されるため安全性を無視して何でも配合しても良いという訳ではありません。使用者が安全にお使いいただける様に、人体への影響について最大限の配慮がなされた材料選びや製法が重要です。
■海外では、ベース・カラー・トップの工程毎の品目に関わらず、爪に塗布する層に関係なくジェルネイルは一つの爪に塗るシステム商品として化粧品として定義されるケースが殆どです。
薬機法はあくまで日本国内に適用される法律のため、海外へジェルネイルの輸出を検討されている場合には、全成分INCI名で組成された化粧品原料を使用して製造された製品でなければ輸出は困難です。
ベースを塗った後の人工爪表層部は爪でないから化粧品である必要なないという理屈は、日本国内での限定的な解釈となり、多くの海外の化粧品規制では全く通用しません。
化粧品区分、雑貨区分の違いを十分理解した上で、ジェルネイルのブランド化を進めて行く必要があります。
弊社にお問い合わせされるお客様は、雑貨ではなく化粧品として製造されたいというお声が圧倒的多数です。化粧品原料でどうしても実現が難しい色味に関してのみ法定外顔料やラメを使用し、雑貨ジェルネイルとして販売を展開されます。
化粧品基準を順守した化粧品原料であれば安心して化粧品に配合することができますが、法定外顔料や工業用のラメやホログラムは人体に有害な毒性物質が含まれる危険性があります。そのため水銀、ヒ素、鉛などの重金属とホルムアルデヒドの検査を実施し、安全性を見極めた上で雑貨ジェルネイルに配合しております。
「他にはできないこと」「日美だから実現できること」「圧倒的な技術力と豊富なアイデア」・・・高品質のジェルネイル製品のOEM製造をお客様にご提供させていただくことで、お客様のビジネスの発展にお役立ちしたいと考えております。
薬機法に基づく化粧品製造販売業、化粧品製造販売業の許認可は弊社にて取得しておりますのでお客様が個別に取得していただく必要はございません。またPL法(製造物責任)についても製造元である弊社が担保するため、お客様が何ら責任を問われることはございません。
厚生労働省薬機法に基づく化粧品成分表示に関するルールについて、下記のリンク先に詳しく記載されております。
米国ワシントンD.C.を拠点とし、世界の化粧品業界や化粧品ビジネスに対し非常に強い発言力を持つ化粧品業界の権威団体です。PCPCにおいて開催されるINCI meeting(INCI名命名委員会)において、INCI名は決定されています。
米国PCPCにおいて命名されたINCI名は日本化粧品工業連合会の発行する化粧品表示名リストに収載されます。日本で流通する化粧品の成分表示には、この収載された表示名リストに基づき化粧品成分表示をしなくてはなりません。