株式会社日美

TPO禁止への対応に関する包括的な考察 

欧州化学庁の新規制とTPOの位置付け

UV光硬化ジェルネイルに使用されている光開始剤「ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)」が、2023年1月、欧州化学庁 (ECHA) の高懸念物質 (SVHC) 候補リストに追加されました。このリストに含まれる物質は、EU域内での使用が最終的に制限される可能性が高く、日本でもその影響が及ぶと見られております 

SVHC候補リストは、健康や環境に重大な影響を与える可能性のある物質を特定する目的で作成されています。特に、生殖毒性や持続性・蓄積性などが評価基準に含まれます。TPOが候補リストに加えられた背景には、以下の点が挙げられます。 

生殖毒性の懸念

TPOはEUのCLP規制において、クラス1B(H360DF:生殖能力への危険性があるとされる物質)に分類されており、ヒトの生殖器系に悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。 

環境リスク

光硬化プロセスで不完全に硬化した場合、TPOが残留する可能性があり、環境中に移行した際の持続性や毒性が懸念されています

代謝生成物の毒性

TPOの分解生成物には、生体内で有害作用を持つ可能性のある低分子化合物が含まれることが指摘されています 

光硬化技術の概要とTPOの役割

光硬化技術は、モノマーやオリゴマーを光開始剤の助けを借りて重合させるプロセスです。ジェルネイルをはじめ、歯科用レジン、コーティング材、プリント回路基板の製造など、幅広い分野で使用されています。この技術は、以下の利点があります。

エネルギー効率

短時間で硬化が完了するため、従来の加熱硬化よりエネルギー効率が高い。 

環境負荷の低減

溶剤を使用しない場合も多く、揮発性有機化合物(VOC)の排出が少ない 

また、TPOは紫外線を吸収し、ラジカルを生成して重合反応を引き起こす光開始剤の一種で、特に以下の点で優れています。

開始効率の高さ

少量で効果的に硬化を促進。

黄変防止

完成品が透明性や色を維持しやすい。

波長適応性

UV LED(365nm—405nm)硬化にも対応可能。 

当社の対応と準備状況

当社では、こうした規制強化の流れをいち早く受け止め、TPOフリーのジェルネイル製品の開発を完了しました。これにより、以下のような成果を達成しています。

規制対応力

EUおよび日本での規制施行後も速やかに対応可能 

安全性向上

新しい光開始剤の採用により、製品の安全性が向上。

環境負荷軽減

持続可能な製造プロセスへの移行を実現。

新製品は既に市場に投入されており、さらなる改良に向けた研究開発も進行中です。 

当社の取り組みと今後の展望

TPOに関する規制の強化はジェルネイル業界全体にとって大きな転換点となる可能性があります。当社は、この変化を適応の機会と捉え、より安全で持続可能な製品を提供することで、消費者と環境に貢献して参ります。今後も規制動向を注視し、迅速かつ柔軟に対応していく所存です。 

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